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2019.11.04 [イベントレポート]
「このホラーの撮影は怖くなかったですが、夜から朝までという撮影スケジュールが怖かったです。」11/3(日):Q&A『Sisters』

Sisters

©2019 TIFF 11/1のQ&Aに登壇したプラッチャヤー・ピンゲーオ監督とプロイユコン・ロージャナカタンユーさん

 
11/3(日)国際交流基金アジアセンター presents CROSSCUT ASIA ♯06 ファンタスティック! 東南アジア『Sisters』上映後、プラッチャヤー・ピンゲーオさん(監督/プロデューサー/原案)、プロイユコン・ロージャナカタンユーさん(女優)をお迎えし、Q&Aが行われました。
⇒作品詳細
 
プラッチャヤー・ピンゲーオ監督(以下、監督):東京国際映画祭で映画が上映されてとても嬉しいです。観客の皆さん、今日は観に来てくれてありがとうございます。
 
プロイユコン・ロージャナカタンユーさん:皆さん、今日は観に来てくださってありがとうございます。
 
司会:ガスーと呼ばれる、あのオバケについて説明をいただけますでしょうか。
 
監督:ガスーというのはタイに昔からいるオバケなんです。でも実はタイだけじゃなくて近隣諸国のマレーシアやカンボジアなどの色々な国にいます。ただどこが発祥した国なのかはわかりません。女性のオバケで、夜になると頭と内臓だけが体から分かれてピカピカ光りながら食べものを捜し歩きます。村人はガスーは胎盤を食べると信じています。だから出産した家に胎盤を求めてウロウロ飛んでいくんですね。ガスーは棘のある木が怖いので、村人は家の近くに棘のある木を置いて(ガス―が)入ってこないようにと工夫しています。ガスーは太陽の光も恐れています。ガスーの食べ物は胎盤以外に人間が排出した汚物を食べて、干してある洗濯物で口を拭くので、ぽつぽつとその跡が布に付いています。その他にはカエルを食べます。こういったタイ人の迷信をこの映画の中にも取り入れました。例えば冒頭のシーンでは、干した洗濯物にぽつぽつと汚れが付いています。実はバンコクも家の周辺に棘のある木があったりします。タイ人がすごく怖がっているオバケなので、こういうシーンをタイの方が観たら分かるんですけど、外国の観客はもしかしたら気づかないかもしれません。
 
司会:プロイユコン・ロージャナカタンユーさんにお伺いします。撮影中はいかがでしたか。ピンゲーオ監督の現場というのは。
 
プロイユコン・ロージャナカタンユーさん:撮影中は映画のシーンほど怖くはなかったのですがロケ地自体は怖かったです。廃墟が多かったので。怖かったのは撮影現場の雰囲気でした。あと、監督は全く怖くなかったです。この通り静かで素敵な方でした。撮影はほとんど夜で、夜から朝までというスケジュールの方が怖かったです。
 
Q:ヒロインがタイの他の妖怪をどんどん倒すシリーズにしてほしいなとすごく思いました。日本にもたくさん妖怪や、貞子といった幽霊もいますので、ぜひ日本に来て戦ってほしいです。
 
監督:この映画自体はドラマ的な要素を強調していて、ヒーロー的な要素は特に重きを置いていないんです。この次はヒーローとしてもっときついアクションを頑張ってもらって、どんどん倒してもらいましょうか。続編のアイデアをくださって本当にありがとうございます。やる気が出てきました。(会場拍手)
 
Q:監督のアクション映画がとても好きなのですが、今後アクション映画を撮られる予定はあるのでしょうか。また今作のキャストはどのように決まったんでしょうか。今後は監督とプロデューサー業どれに重きを置いて仕事をされるんでしょうか。
 
監督:私がアクション映画の監督というイメージが強いので、今作ホラー映画を撮ったのに私の名前が出ていることで観客に、わーアクション映画だ、と期待されてしまうので問題ですね。
今回はヒロイン候補として主演のお2人に会ったときには、彼女たちの作品を少し知っていたので、キャラクターにぴったりだ、と思って選びました。ただアクションヒーローとして描いたわけではなくて、普通の女性が戦うために同世代の人間よりもきつい任務を負っているというキャラクターでした。だからかなり大変な役だったと思います。
ここにいる彼女にぜひやって欲しいと思いました。新世代が古臭いタイのお化けと戦うというというこの対比が面白いと思ったからです。
アクション映画については、これからも予定はあります。まあそれ以外にももちろん色んなジャンルの作品の構想がありますね。ただ、今タイでアクション映画を撮るとすると予算もかなりかかりますし、観客に満足してもらうためにはやはり新しいアイデアが必要です。来年初頭にはアクション映画の撮影を開始して、タイでは来年中に公開、日本にも持ってこられるといいなと思っています。あと2、3本アクション映画の予定はあります。
私もある程度年配のプロデューサーになったところなので、後進の育成にはすごく興味を持っていて、タイにもすごくいい人材はいるんですけれども、いいアイデアを持っている人、それからほかの国と違って脚本をうまく書ける人がすごく少ないんです。
それと比べると日本人はすごくファンタジーとかその色々イメージが豊かでいいなという風に思います。あと、今回、今日もそうなんですけれども日本では年配の方もたくさん映画館に足を運ばれていて、すごくいいなと思います。タイでは年配の人はほとんど劇場には足を運ばないので、あまりそういう状況を見ません。ですから、日本に来て観客と触れ合うとすごく色々イマジネーションを刺激されます。ありがとうございます。
 
Q:タイでも妖怪ハンター的な娯楽要素っていうのはメジャーなのでしょうか。
 
監督:タイのホラー映画では武器を使って退治するというのは一般的ではありません。今回の映画にも出ていたように呪術を使って退治する、呪術師が多いんです。ですけれども、私はガスーというお化けをタイの他のお化けとは全く違うものとして見ています。まるで他の星から来たエイリアンのようなものだなと思っています。ですから私は、ホラー映画というよりは、SF映画と思っているんですけれど、一般の方にはホラー映画といってもらったほうが分かりやすいですよね。
質問してくださった方はたぶんSF映画の要素を観てくださったのかなと思います。武器を使うということはハリウッド映画の妖怪ハンターみたいなものだと思うからです。この映画のパート2、パート3が作られるとしたらすごくアクション的な要素やファンタジー的な要素をもっと追加することになると思います。
 
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ここでサプライズ。観客の皆さんに向けて、Tシャツプレゼント!
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監督:今日は皆さん観にきてくださってありがとうございます。気に入っていただけて、みんなに観るように言っていただければ嬉しいです。多分、日本人に気に入ってもらえる映画だと思います。そうだったならば、次の作品を作る元気が湧いてきます。
 
プロイユコン・ロージャナカタンユーさん:監督がおっしゃったように日本でも近いうちに公開されるので、周りの人に観に来るように伝えてください。そうしたら、私、続編に出られるのでよろしくお願いします。

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