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2019.11.03 [イベントレポート]
「この人(監督)のほうが、映画の主人公より千倍ヒドいです(笑)」11/1(金):Q&A『喜劇 愛妻物語』

愛妻物語

©2019 TIFF

11/1(金)コンペティション『喜劇 愛妻物語』上映後、Q&A:足立 紳監督、奥様の足立晃子さんをお迎えし、Q&Aが行われました。
⇒作品詳細
 
足立紳監督(以下、監督):おはようございます。よろしくおねがいします。
 
矢田部PD:最高の作品を東京国際映画祭のコンペティション部門に出してくださいまして本当にありがとうございます。まず監督からひとことご挨拶の言葉を頂戴できますでしょうか。
 
監督:監督の足立といいます。今日は朝早い時間から、こんなにたくさんの人に来ていただいてほんとにありがとうございます。みなさんと一緒に客席で生の反応を感じながら観られるという、幸せな時間を過ごさせていただきました。本当にありがとうございます。
 
矢田部PD:一昨日ワールドプレミア上映が行われまして、上映後に私いろんな映画人の方にお会いしたんですが、もう皆さん絶賛されていて、今日また満席の会場での上映ということでかなり監督、手ごたえを掴んでらっしゃるのではないかと思うんですけれども、今の心中をお聞かせいただけますでしょうか。
 
監督:本当に小さな小さな小さなお話で個人的なお話だったので、観ていただくまでいったいどういう反応が返ってくるのかかなり怖かったんですけども、一番最初の上映の後にいろんな映画界の先輩方もたくさん来てくださっていて、それでいろんな声を、よかったとか、あーだこうだと言われて、まあとにかくほっとしました。
 
矢田部PD:ありがとうございます。それではですね、さっそく質問をお受けしたいと思います。
 
Q:子役の新津ちせさんについて、こだわったところや、演技に対しての指導をお聞かせいただければと思います。
 
監督:新津ちせちゃんに関しては、こういうテーマなので、まあまず酷い言葉もこの年齢で浴びまくらなければいけないので、ただそこは工夫も何もないので、とにかく彼女にも本読みの時からずーっといてもらって。ただ一番最初の本読みの時には、酷い下ネタとかのところはちょっと一回退出してもらったりしながら徐々に慣れてきてもらったりして。それで何度か稽古をしていくうちに、彼女自身が、わりと勝手に濱田岳さんと水川あさみさんのことをパパママっていうふうに呼びだして、自分から二人の子どもになろうというような空気を作っていったようなところがあるな、というふうに見ていて感じました。それと、僕から具体的に、なるべく子役は自然な演技をさせたいという思いはあって、かといって例えば是枝監督とか子役には撮影現場ぎりぎりまで台本を渡さないっていうような演出方法をとってらっしゃいますけども、僕はそうではなくて、もちろん台本をちゃんと渡して、(自分で観察というか)自分の子や周辺の子たちを見ていて、なるべく子どもが言ってもおかしくないようなセリフだとか、動きだとかっていうのを注意して、そういうふうに動いてくれ、とかこういうふうに言ってくれっていうような指示は出しながらやっていきました。だから、彼女が、ちせちゃんが無意識なのかもしれないですけど、パパママというふうに現場以外のところでも呼んで、親子関係のような空気を作っていったようには見受けました。
愛妻物語
 
Q:ほぼ足立監督の実話だとお聞きしていますが、浮気のシーンが本当だったらその後の足立家の修羅場がどうなったのかを教えていただきたいです。
 
監督:浮気が本当にあったかというのは置いておいて(笑)。昔の話なのでその辺は特に妻は突っ込んでこないです。
 
矢田部PD:かなり実話に近いけれども100%ではないということかと(笑)。
 
Q:去年この作品のワークショップに参加させてもらった者です。ワークショップの後に多分映画があったかと思うんですが、ワークショップの後に何かフィードバックされたものはありますか。
 
監督:僕だけではなく、多くの監督さんが自分の撮る題材でワークショップをされると思うんですけど、一応台本っていうのは机の上で書くものなので、それを生きた俳優さんにワークショップとはいえ演じていただくのは、得られるものがいっぱいあって、ここはやっぱり動きづらいのかとかこのセリフのやりとりはやっぱり厳しいなとかここは台詞を変えていいので自由にやってみてくださいというようなところから新たな台詞が生まれてきたりとかいろいろありますので、ワークショップからフィードバックされたものは多いと思います。
 
Q:俳優さんの選定はどのように行っていたのかを聞かせてください。もしよろしければ続編をよろしくお願いします。
 
監督:まず俳優さんに関してなんですけど、旦那役の濱田岳さんはやっぱりこういうちょっとぐーたらな旦那なので演じていただくうえで、ただ憎めないっていう感じだけでも嫌だなというのがあって、濱田さんは憎めない感じの中にも何かこう卑屈さとかみっともない表情がとってもお上手で、自然に出してらっしゃるのかわからないですけれどもそういうものを感じてて、濱田さんが演じるとああいう男でもキュートさを残しつつやっぱり嫌だというような微妙なところが狙えるんじゃないかなと思って濱田さんにお願いしました。それがその通りになっているんじゃないかなと思います。水川あさみさんに関しては、かなり早い段階で、これはもともと小説があるのですが、その段階くらいから水川さんが念頭にあって、もちろん水川さんが色々なドラマや映画で演技していらっしゃるのをみていいなと思っていたのもあるんですが、よくトーク番組とかで垣間見える素の部分、演技じゃないところが魅力的でこの人がこの奥さん役やってくれたらかならずはまるという確信はずっとあったのでお受けいただいた時は本当にうれしかったです。
 
矢田部PD:続編を期待する声は今のお客さんに限らずかなり多くの方がおっしゃっていますが、監督いかがでしょうか?
 
監督:日本でも外国のものでも、一つの家族なり夫婦なりを何年かに渡って撮ったりしていってシリーズっぽくなっているものはよくあるので、そうなると嬉しいですけど、それはやっぱり公開された時に多くの人に観ていただいてヒットしないとなかなかそうはならないので。でも夫婦関係のことで言うと、この旅に出た時は上の子はこの年で、そこに今は下の子がいたり、上の子はものすごい反抗期になっていて、その反抗期が夫婦関係にモロに反映されて、またこれとは違った理由でガタガタやったりもしてるので、一つの家族や人間というのはどの部分を切り取っていっても永遠にドラマになっていくと思います。
 
矢田部PD:私たちがぜひ作品をヒットさせて監督に続編を作っていただくべく盛り上げていきたいと思います。
では、ここでサプライズ・スペシャルゲストをお迎えしたいと思います。足立監督の奥様にご登壇していただくべくお越しいただいております。大きな拍手でお迎えください。

 
奥様:ありがとうございます。
 
矢田部PD:ありがとうございます。突然すみません。本当に素敵な方でいらっしゃって、水川あさみさんがぴったりですね。映画をご覧になったご感想をお伺いできますでしょうか。
 
奥様:この人(監督)のほうが(映画の主人公の)豪太より千倍ヒドい感じですね(笑)。私だけはよくわかっていますが、実物はもっとヒドいです(笑)。
 
矢田部PD:ちょっと言葉が続かなくなってしまったのですけど、9月の記者会見で監督は映画について質問された時に「映画の何倍も妻は恐いです」とおっしゃっていたので、これでおあいこかな、と。
 
矢田部PD:水川さんの演技にはどう思われましたか。
 
奥様:途中で全然客観視ができなくなったところもあって、最後の泣き笑いに関しては、編集を観ていたんですけど、身内なのにボロボロ泣いちゃって、最高な人にやってもらえたなと思って、そこは本当に嬉しいです。
 
矢田部PD:監督、あのシーンは、奥様はご覧になって冷静でいられなかったとおっしゃいましたけれど、やはりあのシーンの演出というのは特別なものがあったでしょうか。
 
監督:やっぱり特別なシーンなので、一切リハーサルも何もせずに、その日その場で初めてやっていくという形で撮って、絶対一回しかできないだろうなって思っていたので、とにかく逃さないようにカメラ3台を回しながら1回だけっていうことでやっていただきました。
 
矢田部PD:奥様、監督と脚本を読み合わせをされたと監督がおっしゃってましたけれども、読み合わせをしている過程での意見の出し合い方などについて何か覚えているエピソードがございましたら教えていただけますか。
 
奥様:シナリオをまず読んで、意見を言ってというので、ボロカスに言うとすごい怒鳴るんですよね(笑)。それが一つと、喧嘩のシーンが多かったので、本読みを喉が潰れるくらいまでやりました。この映画の自宅のシーンは実際の自宅で撮ったんですけど…。
 
監督:あの家は、本当に足立家です。
 
奥様:本当に汚くて狭い家なんですけど、真夏に20人くらいのスタッフが来て、そのワンシーンワンカットみたいなところの練習を二人ですごい声出し合って動き合ってやってたよね。
愛妻物語
 
矢田部PD:ありがとうございます。最後にお二人にお一言ずついただきましてQ&Aを終えたいと思います。まずは奥様、お言葉をいただけますでしょうか。
 
奥様:今日観て、皆さんいろんな感想があると思うんですけど、まぁ、大した話じゃないんですけど、よろしかったら、皆さんのご協力で拡げて欲しいなと思います。ツイッターやフェイスブックで宣伝していただけたら幸いです。今日はありがとうございました。
 
矢田部PD:ありがとうございます。それでは足立監督お願いいたします。
 
監督:本当に今日は来ていただいてありがとうございました。来年公開するかどうかっていうことも、まだ何も決まっていなくて、今回の東京国際映画祭を弾みにっていうことになってるので、心の底から弾みにしなければという風に思ってますので、みなさん面白いと思われたら、少しでも周りの方に言っていただけたりしたらとってもありがたいです。今日は本当にありがとうございました。

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