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2019.10.31 [イベントレポート]
「私たちの住む地球上にいるかも知れない、そんな風に思える魅力的な物語が受け入れられた理由かな」10/30(水):Q&A 特別招待作品『ヒックとドラゴン 聖地への冒険』

ヒックとドラゴン 聖地への冒険

©2019 TIFF

 
10/30(水) 特別招待作品『ヒックとドラゴン 聖地への冒険』上映後、ディーン・デュボアさん(監督・脚本・制作総指揮)をお迎えし、Q&Aが行われました。
⇒作品詳細
 
矢田部PD(司会):日本公開を待ちわびていらっしゃる方も多いと思いますが、皆様には12月の劇場公開に先駆けて、いち早くご覧いただきましたがいかがでしたでしょうか。『ボス・ベイビー』のドリームワークスアニメーション最新作である本作『ヒックとドラゴン 聖地への冒険』は、全米で公開されると瞬く間に熱狂の嵐を巻き起こし、なんと世界54か国でNo1を記録しているということでございます。日本では、(2019年)12月20日公開に先駆けた上映でした。それでは、さっそくお呼びいたしましょう。皆様大きな拍手でお迎えください。『ヒックとドラゴン 聖地への冒険』の脚本・監督を務められました、ディーン・デュボアさんです。(拍手)
 
ディーン・デュボア監督(以下、監督):映画はいかがでしたでしょうか。(拍手)
今日は、本当に来ていただきありがとうございます。今言っていただきましたように、初めての一般上映で、初めて日本で観ていただけることになりました。日本のアニメーションには、いつもインスピレーションを与えられるものなので、日本でこのように上映できることをたいへん光栄に思っています。また、北米の僕らでも日本のアニメーションというのは、とても心動かされるし、すごく勇敢でワンダーが詰まっていると、いつもインスピレーションを受けています。アニメーションは北米だと少し子供向けだと捉われがちだったりするのですが、日本の観客の方は、年齢は関係なく大切に思ってらっしゃるところがとても好きです。ありがとうございます。
 
矢田部PD:ありがとうございます。私のほうで、早速監督にお伺いしたいのですが、ほんとに1作目から10年ということですね。
その前に1と2両方あるいは片方,ご覧になっている方はどれくらいいらっしゃいますか。(多くの人が挙手)

 
監督:嬉しいです。
 
矢田部PD:ここまで世界中で大ヒットを記録して、愛される理由はどのようなところにあると監督はお考えになっていますでしょうか。
 
監督:やはりドラゴンというのは非常に人気があるということ、そして日本を含めて世界中のどの文化にも存在しています。2本目の作品に関わったジャイモン・フンスーさんからアフリカにも実はドラゴンがいたという話があったと聞いたので、私たちが意外だと思うような文化にもドラゴンが登場しているのだなと思いました。恐竜というものは実際に存在していたわけで、それに非常に近いクリーチャーが、そして更にそこに神話性が付与されたクリーチャーが本当に地球にいたかもしれないと考えることはとても素敵なアイディアだと思いますし、ヒックのようにドラゴンたちと友情を築いたり、背中に乗って空を飛べたりという願望を、ある意味叶えてくれる物語だからなのかな、という風に思います。もしかしたら私たちの住む地球上にいるかも知れない、そういう風に思えるところがとても魅力的なアイディアだしストーリーテリングにすごく向いているのだと思います。
 
矢田部PD:大きなシリーズの魅力はやっぱりキャラクターの成長だと思うのですけれど、様々なキャラクターが登場しますけれど、監督がキャラクターを思いつかれる時に、どのような着想を得てそのキャラクターを作られるのでしょうか。プロセスを教えてくださいますか。
 
監督:二つ答え方があるのですが、人間のキャラクターの場合は、兄弟や友人たち自分の親しい人たちを参考にしています。そうするとよりリアルな造形ができるし、ステレオタイプを避けられます。特にヒロイックなキャラクターの場合は、短所をちゃんと持つようにするとよりテクスチャーが生まれ、共感がしやすいキャラクターになるように思います。人間には、誰にもヒロイックな瞬間があったり、ちょっと失敗してしまう瞬間というのがある。そういう複雑な造形をすればするほど、共感できるキャラクターになると感じています。また、ドラゴンの場合は、実際の地球上で存在している生き物たちを参考に造形していきます。今地上で歩いているような、例えば、オウム、セイウチ、パンサー、ブルドック、こういった様々な動物たちを参考にして、それをデザイン上で参考にするだけではなく、行動などの面でも参考にして作っています。
 
Q:主人公ドラゴンのデザインについて?
 
監督: 1作目でクリス・サンダースと一緒に関わった時はいくつかのドラゴンのデザインがされていたんです。それが爬虫類っぽい造形が多かったので、トゥースのデザインを考えた時に夜に消えていくような黒くパワフルなドラゴンとして、そしてバイキングが恐れるような存在にしたいと考える一方で、犬や猫のように抱きしめたいと思えるような両面を持たせたいと考えました。怖いところと遊び心のあるかわいい側面。大きさもちょうどヒックが乗れて飛べるようなサイズを考え、そのような様々な要素が備わったものがこのキャラクターになったわけです。
そんな中、ブラックパンサーの写真を見まして、エレガントで、哺乳類的な部分にすごくインスパイアされました。それと大きなトカゲのサラマンダーとブラックパンサーの要素を組み合わせてデザインを考え、さらに大型のネコ科の動物たちのネコ的な動きや資質というものを加えていったという感じです。
 
矢田部PD:監督、最後になりましたけれども作品に込められた思いを語っていただけますでしょうか。
 
監督:ありがとうございます。12月20日に劇場公開されますが、今日初めて一般の皆さんに大きなスクリーンで観ていただけて、大変光栄に思っておりますしワクワクしております。気に入っていただけたならうれしいですし、これから日本の多くの方にこの作品が響くことを願っております。そうすれば作品に携わったすべてのみんなが喜ぶと思います。今日は本当にありがとうございました。

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