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2019.11.02 [イベントレポート]
『海獣の子供』はどの国でも同じリアクション「とても美しい」「ちょっとおかしい」
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登壇した(左から)渡辺歩監督、 小西賢一氏、秋本賢一郎氏

第32回東京国際映画祭のジャパニーズ・アニメーション部門「THE EVOLUTION OF JAPANESE ANIMATION/VFX」で11月2日、『海獣の子供』が東京・TOHOシネマズ六本木ヒルズで上映された。上映後のQ&Aには渡辺歩監督、キャラクターデザイン及び総作画監督・演出を担当した小西賢一、CGI監督の秋本賢一郎が臨み、プログラミング・アドバイザーの氷川竜介氏が進行役を務めた。

本作は、五十嵐大介氏の同名漫画をアニメ映画化。学校でも家庭でも居場所をなくした中学生の少女・琉花が、海と空という不思議な兄弟に出会い、海に宿る生命の秘密に触れていく海洋冒険物語を紡ぐ。

氷川氏からの「アメリカのアカデミー賞にエントリーされたという点で、国際的な観点からどう感じるか」という問いに対し、渡辺監督は「エントリーに関しては、非常に驚きとワクワクする気持ちがあります。数あるアニメーションの1本として選ばれたのであればとても嬉しく思います。また、海外のどの国でも不思議なことに同じリアクションでした。とても美しいということと、ちょっとおかしいんじゃないということです」と海外における評価を明かす。

また、渡辺監督は製作に際し「原作の五十嵐先生の描写が大変素晴らしいので、そもそもこれを映像化するのが無謀なのではないかというところからのスタートでした。絵を通じた情報量がとても多いのですが、アニメ化するにあたって絶対に情報を落としてはいけないということがありました」と苦労した点を述懐。小西は、「この作品の評価として「原作の絵を表現してくれている」というものがあるのですが、実際、似ているかという点ではそうでもないんです。監督がやりたい絵というものがベースにありますので。ただ、お客さんに「これは再現されている」と思わせるというのが私たちの仕事でした」と総作画監督の立場から語った。

一方の秋本はCG制作について「まず、モノクロの原作が色付きのアニメーションになった時、原作の雰囲気をどれだけ出せるかということをCGのスタッフたちで意識しました。例えば大量の魚群が水の中を泳ぐというシーンなどでCGの作業が求められたのですが、情報量を増やしていってもただ汚い絵になってしまいますので、原作がどのくらいのバランスで絵を作っているのかということをスタッフで研究して、絵をデザインにして作っていくということやっていました」と、苦心の作成過程を話していた。

第32回東京国際映画祭は、11月5日まで開催。
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