サイード・ルスタイ監督と ナビド・モハマドザデー
第32回東京国際映画祭のコンペティション部門に出品されたイラン映画『
ジャスト6.5』の公式会見が11月2日、東京・TOHOシネマズ六本木ヒルズで行われ、脚本も手がけたサイード・ルスタイ監督と、出演俳優のナビド・モハマドザデーが登壇した。
同作は、イラン警察と麻薬組織の対決を軸に、同国にはびこる麻薬が社会や人々に及ぼしている問題や影響をあぶり出している。ルスタイ監督は、「私はイランという国の現実の一部を映画にしました。このような映画を作ったことで批判もありましたが、私たちは作品を現実に近づけようと努力してきました。その人たちが現実を見ていないということがあるのです」と熱く語った。
映画の中で映し出されているイランが置かれている状況については、「貧困と麻薬問題に加え、経済的な問題の影響があるかと思います。イランの隣国アフガニスタンでは大量に麻薬が作られており、特にこの20年間は約100倍にもその量は増えています。そしてそのルーツはイランであり、いくら政府が頑張ってもなかなか厳しいという問題があります」と現実を語った。
また、終わりの見えない麻薬の取り締まりを象徴するかのような、クライマックスの渋滞のハイウェイの撮影に触れ、ルスタイ監督は「自分たちで車を何台も投入して大変な渋滞を起こしたのです。ラジオニュースでも「今日このハイウェイはどうなっているのでしょうか」などと放送されました」と笑いを交えて撮影秘話を明かした。
麻薬組織のボスを演じたモハマドザデーは、「サイード監督の作品は2作目であり、今回の作品の役については1年前くらいから監督と話していました。ふたりで協力して話して合っていくことで、このキャラクターを作り上げました」と自らの役どころについて話した。さらに「私は12人兄弟で1番下ですが、大きな家族の父親という立場で皆を養うという考え方はよくわかります。私自身が成功しているのでそうした意味でこの役に当てはまったと言え、気持ちもよく理解できていました」と、麻薬で富を得たボスのキャラクターについての考えを話した。また、日本の往年の名俳優である三船敏郎の名を挙げ、尊敬し影響を受けていることも告白した。
第32回東京国際映画祭は、11月5日まで開催。