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第32回東京国際映画祭コンペティション部門に出品されたフランス映画『
動物だけが知っている』の公式会見が10月30日、東京・TOHOシネマズ六本木ヒルズで行われ、出演した俳優のドゥニ・メノーシェとナディア・テレスツィエンキービッツが登壇した。
『
動物だけが知っている』は、『ハリー、見知らぬ友人』(2000)で第26回セザール賞の最優秀監督賞を受賞したドミニク・モル監督の最新作。フランスの雪国で起こったひとりの女性の失踪事件が、事件現場の近くで農場を経営する夫婦、ひとり暮らしの無口な男性、パリで暮らす少女、遠く離れたコートジボワールの青年と、つながりの見えない複数の視点から描かれ、思いもよらぬ真相が明らかになっていくというサスペンスドラマだ。
「偶然」がひとつの鍵を握る本作について、妻とともに農場を経営する夫ミシェルを演じたメノーシェは「ありえないような状況を、真実のように演じ切る、俳優という職業を愛しています」と語り、「ここにいる皆さんと私が一堂に会したのも、一種の「偶然」ですね」と笑顔を見せた。
また、物語の後半に大きな動きをもたらす少女マリオンに扮したテレスツィエンキービッツは、本作の登場人物に関して「とても寂しく、迷っていて、同時に、何か自分の信念を探している人々」「皆、「愛される」ことを渇望しているけれど、他人に「与える愛」は持っている」と評し、演技を追求する上で、感情について極限まで向き合う機会となったと明かした。
ふたりの演じたキャラクターは今後どのような人生を送ると思うか、演者の視点から考えてほしいという質問に対し、メノーシェは「ミシェルは、仕事を見つけ、「彼女」との会話を続けると思います」、テレスツィエンキービッツは「マリオンは勇敢で意志の強い人間なので、いつかまた新しい愛を見つけると思います」と真摯に答えていた。
第32回東京国際映画祭は、11月5日まで開催される。