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2019.10.30 [イベントレポート]
「東京で沢山の人と知り合い、経験したことは私の宝物です」10/29(火):舞台挨拶『アースクエイクバード』

アースクエイクバード

©2019 TIFF

 
10/29(火)特別招待作品『アースクエイクバード』上映前、ウォッシュ・ウェストモアランド監督、アリシア・ヴィキャンデルさん(女優・中)、小林直己さん(俳優・左)をお迎えし、舞台挨拶が行われました。
⇒作品詳細
 
ウォッシュ・ウェストモアランド監督(以下・監督):こんにちは。監督のウォッシュ・ウェストモアランドです。30年前私は日本に来ました。そして留学生として8か月間福岡に滞在しました。その時はとても楽しかったので、いつも心に日本があり、日本にまた帰りたいと思っていました。今回の作品『アースクエイクバーク』は私にとってとても大切な作品です。東京で沢山の人と知り合い、経験したことは私の宝物です。今日皆さんにこの映画を見ていただくことがとても光栄です。ではお楽しみください。ありがとうございます。皆さん、どうぞ映画をお楽しみ下さい。
 
アリシア・ヴィキャンデル(以下・アリシア):皆さんこんにちは。本当にありがとうございます。今回東京に戻ってこられて嬉しく思います。子供のころからずっと日本には憧れがありました。日本の映画とか日本の本を読んで育ちました。日本に対しての好奇心が強かったです。昨年(2018年)3か月から4か月、日本に滞在して、監督と小林直己さんと一緒にこの映画を作ったということは私の人生にとって貴重な体験になりました。
 
小林直己:皆さんこんにちは。小林直己です。自分が生まれ育った日本という国が舞台となった作品にこうして日本人の役者として参加できたことがとても嬉しく思います。また自分が英語で芝居をする初めての役がこうして素晴らしい監督とアリシアと一緒に芝居を作れたこと、芝居をできたことをとても光栄に思います。この作品は日本に生まれ育った方、また日本語を喋る方、そして日本に興味を持っている方がとても楽しめる内容になっているのでぜひこの後楽しんでいただければと思っています。本日はありがとうございます。
 
司会:完成された作品の感想、それから日本で撮影されたご感想をそれぞれお聞かせください。
 
監督:私にとって二年間をかけて、実現したプロジェクトなので本当に完成品を見た時に喜び以外感じるものはありませんでした。私にとって素晴らしいスタッフと一緒に仕事ができたということもありますし、このプロセス全体が私にとって非常に光栄なものでした。
 
アリシア:ウォッシュ監督のとても素敵なリーダーシップのもと撮影を行いました。完成品を観る前に、何度も色々と見せていただき、非常に彼の独特な声、ユニークな声っていうのが分かりました。そして私もこの完成品を見た時に驚きましたし、素晴らしいものと思いました。私の中でも4か月日本に滞在し撮影した体験は、本当に記憶に残る素晴らしい体験になりました。また2日前に日本に再来日して友達に会ったり、本当にまじめで一生懸命仕事をするスタッフ達と会ったことが非常にインスピレーションになりました。
 
小林直己:何よりも今こうして二人が日本語を話してくれて、ウォッシュの当時の留学してた頃の思い出やアリシアもこうして久しぶりに日本語を話したり、友達に会うという日本への理解であったり、尊重する気持ちを持っているクルーの中で、参加できたことを本当に光栄に思います。先日ロンドン映画祭でもワールドプレミアがありましたが、そこでも日本の内容がもっと知りたいということや、興味があるという客席からの意見もあり本当に日本という国が注目されているのを肌で感じています。その中でこの作品は日本の製作チーム、キャストのみなさんはもちろんですが、海外そしてアメリカのだけじゃない国の素晴らしいキャスト、クルーとも、一緒に作ることができました。その人達が描き出す日本というものを僕も完成した後に観てとても興味深いものでした。「知っているはずの日本がこんなにも不思議なものなんて」と感じたので、ぜひ僕ももう一度観たいと思っていますし、皆さんが観た後の感想を知りたいと思います。
 
司会:アリシアさん、本作でとても多く日本語をお話なり、イントネーションが美しいだけではなく、日本語の細かなニュアンスまで素晴らしく表現されていると思いましたが、そのチャレンジはいかがだったでしょうか。
 
アリシア:私は今回一生懸命日本語にチャレンジしたのですが、とっても不安が大きかったんです。このルーシーという役はスウェーデンから来て、そして日本という国に馴染もうとしているキャラクターです。日本語はとても大切な部分であった為、日本の文化を短期間で知り、言葉を覚えることに非常に何時間もかかりました。またメイクの人には毎日2時間くらい私のセリフを言って聞かせていました。「これでいいの」と確認していました。英語でまずセリフを言い感情を込めてセリフを言う、そうすると直訳はできません。何度も何度も書き直しをして翻訳をし直しました。
 
司会:監督、撮られている中で東京を佐渡島で撮影されていましたが、非常に日本的だなって思われた瞬間っていうのは何かございましたか。
 
監督:今回はできるだけロケ地にしましても、文化にしましても日本というものを正確に信憑性のあるものにしたいという風に思いました。そのため全てにおいてスタッフにも意見を聞き、そしてこれで正しいという方向に導いたつもりでいます。違いを強調するというよりも繋がりを共感できるものを強調しようと思いましたし、できるだけ日本的な映画になっていると思います。しかしそれは皆さんが観て判断されることだと思います。
 
司会:小林さん、本作でハリウッドデビュー、世界190か国の方に視聴可能という作品ですが、演じられた上で意識されたことや撮影現場での違いがあれば教えてください。
 
小林直己:言語が英語だった為、自分が日本語で生まれ育ったのでそういった部分での準備はものすごく時間をかけました。全世界で同時に配信されるということですが、僕自身も海外作品にとても影響受けてきました。顔も名前も知らないどこかの誰かがこの作品を通じて日本に興味を持ったり、僕らの芝居やクルーと一緒に作った作品で何か影響を与えることができたらそれは表現者冥利に尽きるなと思っています。またとてもシンプルに不思議な感じです。それは日本のこういった文化や精神性みたいなものをウォッシュやアリシア、そして他のキャストといろんな話をし、それに対して二人とも、またクルーの皆さんもとてもオープンでいつでも聞く姿勢をもってくれて共に日本の本物感を正確に表現しようというところにしっかり全員で寄り添いあって、作品を作ることが最後までできたのですごく不思議で光栄な経験でした。

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