舞台挨拶に立った郭 智博、倉本朋幸監督ら
第32回東京国際映画祭が開催中の東京・TOHOシネマズ六本木ヒルズで11月3日、日本映画スプラッシュ部門出品作『
どうしようもない僕のちっぽけな世界は、』が公式上映され、本作で長編映画デビューを飾る倉本朋幸監督、主演の郭 智博、子役の古田結凪ちゃん、冨手麻妙、美保 純、和希沙也が舞台挨拶に立った。
児童相談所に虐待を疑われ、娘が養護施設に入所させられた夫婦を通してネグレクトや幼児虐待といった現代社会の暗部にフォーカスし、親子のつながりと家族の絆を問う物語。倉本監督は「僕たちはお客様に観てもらうために、映画を作っているので、こういう機会をいただき本当にありがとうございます」と映画祭に感謝し、「ご来場の皆さんもありがとうございます。本当に最高のキャスト、スタッフに恵まれた」としみじみに語っていた。
本作は倉本監督の親友に起こった実際の出来事がベースになっているといい、「日本のどこか片隅で、こういう人間たちがいて、こういうことが実際に起こっている。そのことに、自分としては思いをこめて人を愛しながら作った」と思いをアピールした。
続いて主演の郭は、「先日(10月29日)に第1回の上映が無事に終わりまして、今日が2回目です。実はこれ以降の上映はまだ決まっていません」と挨拶。「なので、上映できるのは今日が最後かもしれません」と弱気なコメントを発すると、倉本監督は「それはない。それまずいって!」と大慌てで、同席のキャスト陣も苦笑い。改めて、郭は「そうならないよう、プロデューサーをはじめ、監督も僕も頑張っていかないと。(映画祭という)すばらしい場所で上映していただけることは幸せですし、ご覧になった皆さんの心に何か残る作品になることを祈っています」と背筋を伸ばした。
娘役の結凪ちゃんが「今日は映画を観に来てくれて、ありがとうございます。古田結凪です。7歳です。よろしくお願いします」としっかりした挨拶を披露すると、隣に立つ美保は「美保純です、59歳です!」と笑いを誘い、「この映画を観て、リアルな今の日本だなと思ったんです。人が急に病んでしまう瞬間がよく描かれていて、じわーと考えさせられる。もう1度観たいと思います」と神妙に語った。
共演する冨手は「私が演じた女の子を、すごくバカな女と捉えるか、それとも作品の救いと捉えるか。観た人それぞれ感じるものが違う役だと思う」。また、和希は「ご覧いただくとわかると思いますが、誰にも味方になってもらえない役。ですから、私だけは愛情をもって、役柄に接してあげようと演じた」とそれぞれ自身の役柄について語っていた。
第32回東京国際映画祭は11月5日まで六本木ヒルズ、東京ミッドタウン日比谷などで開催。