会見した(左から)足立 紳監督、 濱田 岳、水川あさみ
第32回東京国際映画祭のコンペティション部門に選出された『
喜劇 愛妻物語』に出演した濱田 岳、水川あさみと足立 紳監督が10月29日、東京・TOHOシネマズ六本木ヒルズで会見を行った。
『百円の恋』(2014)などの脚本で知られる足立 紳監督が、自伝的小説を自ら映画化。売れない脚本家と、悪態をついて夫をしったする恐妻との夫婦の絆を描く。足立監督は会見開始早々、「本業はシナリオライターなので、人前に出ることに慣れていない」とテーブルの水をこぼしてしまい、2人を爆笑させた。
その足立監督を演じることになった濱田は、「子どもの頃から俳優をやっているが、こんな大きな映画祭に出るのは初めて。それが足立監督の役であることが大変残念に思います」と自虐。それでも、「映画で『へらへらしやがって』とよく怒られるんですけれど、へらへらってどういう表情だろうと考えて横を見たら監督がへらへらしていた。役づくりのために側にいてくれた」と感謝した。
水川も「現場に入って、岳くんの姿を見ていると自然に罵声(ばせい)を浴びせたくなった」と、その役づくりを絶賛。足立監督は恐縮しきりだったが、クランクイン前に撮影で使った自宅に2人を呼んで本読みをしたことを明かし、「脚本の段階で納得がいくまで、妻にも相手をしてもらって、ほとんどのシーンを2人で芝居しながら作り上げていった」と自信をうかがわせた。
撮影中、罵声を浴びせられ続けた濱田は「役であると理解していても、なかなかつらいものがあった。でも、人間ってすごいものでだんだん慣れてきて楽しくなってきた。自己防衛本能に感心した」と自賛。対する水川も、「岳くんの言った通りで、付け加えれば毎日やっているとだんだん(加減が)分からなくなり、日に日に声が大きくなっていった」と照れながら振り返った。
理想の夫婦像については、濱田が「ずっとラブラブがいいと思っていたが、互いの距離感が分かってそれを守っていれば愛し合っているという日本語の範ちゅうに入るのでは」と持論を展開。9月に俳優の窪田正孝との結婚を発表した水川は、「夫婦は一番近くにいる他人で、人生を共にするのが奇妙で面白い。それぞれの形が個性になると思う」と話した。
第32回東京国際映画祭は、11月5日まで開催される。